シラバス参照

講義名 社会心理学B 
英文科目名 Social Psychology B 
科目ナンバー DFHEXP3510,DFHEXP2510 
担当者

河合 直樹

科目群 専門科目 
対象学年 2年 
単位数
開講期間 後期 
曜日・時限・教室 後期 火曜日 3講時 E-402教室



授業のねらい
 ときに私たちは、日々の行動や発言、判断といったものを自分の「こころ」の純粋な産物だと考える。「友人からの甘い誘いに思わず乗ってしまった」「ライブ会場の熱気に当てられて自分でも驚くほど狂騒してしまった」いう場合はあくまで“例外”にすぎず、他の存在とは一線を画した「この私」こそが判断の主体なのだ、と。

 この常識に対して強烈な一石を投じるのが、社会心理学である。「こころ」というものは、私たちが素朴に思っている以上に、他者からの影響に満ち満ちている。それほどに「こころ」と「社会」は分かちがたく結びついていることを、社会心理学は教えてくれる。

 よく「人間は社会的動物だ」といわれる。散々使われてきた表現で、もはや何の目新しさも感じないかもしれない。本講義は、この手垢にまみれた標語に対して、心理学の見地から新たに光を当てる試みといってよい。意識していないが実は体験していたことや、暗黙裡に「あたりまえ」とみなしていた価値観への気づきをとおして、自分がどのような社会性を生きているのかを見つめなおす機会ともなるだろう。 
履修者が到達すべき目標
〇「人の態度及び行動」「対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程」「家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響」を正しく理解し、重要な概念や実験・事例について説明することができる。
〇日々の生活やメディアをとおして知る心理現象・社会現象を、社会心理学の概念を用いて考察したうえで、その社会的意味や解決方策について、自分のことばで論じることができる。 
授業の進め方
学修上の助言
【授業の進め方】
〇配布資料をもとに、スライドや動画をスクリーンに投影して講義を行う。
〇各種資料のファイルは、Moodle上に逐次公開する。
〇毎回、受講をとおして考えたことや質問などをMoodleで提出してもらう。(オンライン提出ではあるが、この提出物は慣例的に「リアクションペーパー」と呼ぶこととする)
〇学生の興味・関心に応じて、講義内容を変更することがある。

【学習上の助言】
〇わからないことや疑問に思ったことは、なるべく時間をおかずに調べたり、質問するとよい。仮に、そのとき解決・納得が得られなかったとしても、注いだ努力は財産となり、今後の学習に必ず良い影響をもたらす。 
アクティブ・ラーニングの要素の有無
なし 
ICTを活用した双方向型授業の有無
情報共有ツールとして、Moodleを中心に活用する。学生ポータルも併用するので、Moodleおよびポータルをこまめに確認すること。 
授業内容・計画
回数 授業、事前・事後学修の内容 時間
1 事前   シラバスを読む  2.0 
授業   〇本講義の概要、進め方、注意点 
事後   配布資料を復習する  2.0 
2 事前   社会心理学と聞いて連想することを1つ挙げ、それが心理学のなかでどのように研究されている(または研究されていない)かを調べる  2.0 
授業   〇文化(1)
  ~日本人は本当に集団主義なのか?
*信頼の解き放ち理論 
事後   配布資料を復習する  2.0 
3 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇文化(2)
  ~集団主義/個人主義に対する新しい考え方
*頻度依存行動、限界質量、関係主義、マイルドな個人主義 
事後   配布資料を復習する  2.0 
4 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇自己(1)
  ~本当の私、仮初の私、どれも「わたし」
*社会的自己、作業自己概念、自己呈示、自己開示 
事後   配布資料を復習する  2.0 
5 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇自己(2)
  ~人は誰しも自意識過剰になるときがある
*自己評価、スポットライト効果、自己制御、文化的自己観 
事後   配布資料を復習する  2.0 
6 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇態度(1)
  ~都合の良いように解釈する、それが人間
*認知的不協和理論 
事後   配布資料を復習する  2.0 
7 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇態度(2)
  ~逆ギレの心理を理論的に考察してみよう
*認知的不協和理論 
事後   配布資料を復習する  2.0 
8 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇原因帰属(1)
  ~あなたが失敗したのだから、あなたが悪い?
*対応バイアス 
事後   配布資料を復習する  2.0 
9 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇原因帰属(2)
  ~私が失敗したのは、まわりのせい?
*対応バイアス、行為者―観察者バイアス、公正世界仮説、責任帰属 
事後   配布資料を復習する  2.0 
10 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇感情・情動(1)
  ~恐怖のドキドキが、恋愛のドキドキに!?「吊り橋効果」の真実
*情動二要因理論、情動の錯誤帰属 
事後   配布資料を復習する  2.0 
11 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇感情・情動(2)
  ~悲しいから泣く?泣くから悲しい?感情研究の最前線
*単純接触効果、ジェームズ・ランゲ説、キャノン・バード説、顔面フィードバック仮説、ポジティブ心理学 
事後   配布資料を復習する  2.0 
12 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇対人魅力
  ~「自分とは反対の性格の人を好きになる」説はどこまで本当か?
*類似―魅力仮説、相補性の魅力、単純接触効果、ハロー効果 
事後   配布資料を復習する  2.0 
13 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇コミュニケーション(1)
  ~ふだんの何気ない会話は、実はミラクルに満ちている
*社会言語学、コードモデル 
事後   配布資料を復習する  2.0 
14 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇コミュニケーション(2)
  ~コミュニケーションは「ミラクル」と「失敗」に支えられている?
*共通の基盤、ミス・コミュニケーション 
事後   配布資料を復習する  2.0 
15 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇社会心理学の現代的課題
  ~一枚岩ではない社会心理学の世界
*集団心 
事後   配布資料を復習する  2.0 
授業科目に関連する実務経験の内容とその経験を活かした授業の展開
実務経験なし 
成績評価の基準と方法
課題に対するフィードバックの方法
【成績評価の基準と方法】
次の2点を総合して評価する。
1.第2~15回の講義後に提出するリアクションペーパー(各5点×14回=70点)
2.期末レポート(30点)
*盗用(コピペなど)をはじめとする不正行為が確認された場合、原則として、当該学生に対して本科目の単位を認定しない。

【課題に対するフィードバックの方法】
〇リアクションペーパーの評定は、Moodleを通じて、原則として次回講義日までに実施する。
〇期末レポートの評定は、Moodleを通じて、成績確認期間前までに実施する。 
テキスト
No 著者名 書籍名 出版社 ISBN/ISSN
1. 特に指定しない。       
参考文献
No 著者名 書籍名 出版社 ISBN/ISSN
1. 亀田達也・村田光二  『複雑さに挑む社会心理学[改訂版]』  有斐閣アルマ  978-4641124189 
2. 村山綾  『「心のクセ」に気づくには社会心理学から学考える』  ちくまプリマー新書  978-4480684424 
関連ページ
1. 心理学に興味のある方へ  https://psych.or.jp/public/  日本心理学会ホームページ 
2. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連ページ  https://psych.or.jp/special/covid19/  日本心理学会ホームページ 
備考
〇原則として、指定された〆切以降に提出されたリアクションペーパーおよび期末レポートは受理しない。
〇本学の「履修要項」に定められている欠席(特別欠席・公認欠席・感染症による授業欠席)に該当する場合は、所定の証明書を提出した者に限り、特別対応(課題の提出〆切の延長など)を検討する。ただし、状況により特別対応が難しい場合もありうる。そのため、欠席証明書は発行され次第、速やかに提出すること。
〇特別な理由がない限り、成績の再評価は行わない。たとえば、上述の証明書が発行されない事情(通常の体調不良など)しかないにもかかわらず「今期に卒業するため、なんとか本科目の単位を認めてほしい」といった陳情には、基本的に応じない。

〇受講にあたって前提とする知識は特にないが、心理学系の他科目を並行して履修することが望ましい。
〇前期に開講する「社会心理学A」の履修は必須ではないが、社会心理学の全体像を理解したい者は通年で履修することを推奨する。 
教員e-mailアドレス
kawaiあっとまぁくsgu.ac.jp 
オフィスアワー
水曜12:30-13:00(A館4階A-419) 
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