シラバス参照

講義名 社会心理学A 
英文科目名 Social Psychology A 
科目ナンバー DFHEXP3509,DFHEXP2509 
担当者

河合 直樹

科目群 専門科目 
対象学年 2年 
単位数
開講期間 前期 
曜日・時限・教室 前期 火曜日 3講時 E-402教室



授業のねらい
 ときに私たちは、日々の行動や発言、判断といったものを自分の「こころ」の純粋な産物だと考える。「友人からの甘い誘いに思わず乗ってしまった」「ライブ会場の熱気に当てられて自分でも驚くほど狂騒してしまった」いう場合はあくまで“例外”にすぎず、他の存在とは一線を画した「この私」こそが判断の主体なのだ、と。

 この常識に対して強烈な一石を投じるのが、社会心理学である。「こころ」というものは、私たちが素朴に思っている以上に、他者からの影響に満ち満ちている。それほどに「こころ」と「社会」は分かちがたく結びついていることを、社会心理学は教えてくれる。
 
 よく「人間は社会的動物だ」といわれる。散々使われてきた表現で、もはや何の目新しさも感じないかもしれない。本講義は、この手垢にまみれた標語に対して、心理学の見地から新たに光を当てる試みといってよい。意識していないが実は体験していたことや、暗黙裡に「あたりまえ」とみなしていた価値観への気づきをとおして、自分がどのような社会性を生きているのかを見つめなおす機会ともなるだろう。 
履修者が到達すべき目標
〇「対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程」「人の態度及び行動」「家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響」を正しく理解し、重要な概念や実験・事例について説明することができる。
〇日々の生活やメディアをとおして知る心理現象・社会現象を、社会心理学の概念を用いて考察したうえで、その社会的意味や解決方策について、自分のことばで論じることができる。 
授業の進め方
学修上の助言
【授業の進め方】
〇配布資料をもとに、スライドや動画をスクリーンに投影して講義を行う。
〇各種資料のファイルは、Moodle上に逐次公開する。
〇毎回、受講をとおして考えたことや質問などをMoodleで提出してもらう。(オンライン提出ではあるが、この提出物は慣例的に「リアクションペーパー」と呼ぶこととする)
〇学生の興味・関心に応じて、講義内容を変更することがある。

【学習上の助言】
〇わからないことや疑問に思ったことは、なるべく時間をおかずに調べたり、質問するとよい。仮に、そのとき解決・納得が得られなかったとしても、注いだ努力は財産となり、今後の学習に必ず良い影響をもたらす。 
アクティブ・ラーニングの要素の有無
なし 
ICTを活用した双方向型授業の有無
情報共有ツールとして、Moodleを中心に活用する。学生ポータルも併用するので、Moodleおよびポータルをこまめに確認すること。 
授業内容・計画
回数 授業、事前・事後学修の内容 時間
1 事前   シラバスを読む  2.0 
授業   〇本講義の概要、進め方、注意点 
事後   配布資料を復習する  2.0 
2 事前   社会心理学と聞いて連想することを1つ挙げ、それが心理学のなかでどのように研究されている(または研究されていない)かを調べる  2.0 
授業   〇社会心理学とはなにか? 
事後   配布資料を復習する  2.0 
3 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇社会的ジレンマ(1)
  ~二者間のジレンマ
*囚人のジレンマ 
事後   配布資料を復習する  2.0 
4 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇社会的ジレンマ(2)
  ~多者間のジレンマ
*共有地の悲劇 
事後   配布資料を復習する  2.0 
5 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇社会的ジレンマ(3)
  ~女性専用車両をめぐる問題は社会的ジレンマか? 
事後   配布資料を復習する  2.0 
6 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇ステレオタイプと偏見
  ~居場所があなたの価値観をつくる
*内集団と外集団、外集団均質化効果、最小条件集団パラダイム、内集団びいき、錯誤相関、ステレオタイプ、社会的アイデンティティ理論 
事後   配布資料を復習する  2.0 
7 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇協調行為の生産性・援助行動
  ~困っている人をわざと助けない心理とは
*社会的促進、社会的抑制、社会的手抜き、社会的インパクト理論、傍観者効果 
事後   配布資料を復習する  2.0 
8 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇集団意思決定(1)
  ~「三人寄れば文殊の知恵」は本当か?
*集団極性化現象、リスキーシフト、コーシャスシフト、集団浅慮 
事後   配布資料を復習する  2.0 
9 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇集団意思決定(2)
  ~「何を話し合うか」から「どう話し合うか」へ
*エンカウンターグループ、集団決定法、ブレインストーミング 
事後   配布資料を復習する  2.0 
10 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇同調
  ~長いものに巻かれろ?言われずとも巻かれてしまっている人々の心理
*集団の斉一性、アッシュの同調実験、規範的影響と情報的影響、多元的無知 
事後   配布資料を復習する  2.0 
11 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇服従
  ~「従いたくなくても従ってしまう」人間の姿を世に示した衝撃の心理実験
*ミルグラムのアイヒマン実験 
事後   配布資料を復習する  2.0 
12 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇多数派と少数派
  ~同調と服従を乗り越える社会状況とは?
*ブルー/グリーン・パラダイム、沈黙の螺旋 
事後   配布資料を復習する  2.0 
13 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇社会ネットワーク
  ~どんな「つながり」が社会的インパクトを持つのか?
*弱い紐帯の強み、社会関係資本、スモールワールド・ネットワーク 
事後   配布資料を復習する  2.0 
14 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇判断の状況依存性(1)
  ~私たちはメディアを使っている?それともメディアに踊らされている?
*議題設定効果、教化効果、プライミング効果、フレーミング効果 
事後   配布資料を復習する  2.0 
15 事前   リアクションペーパーに対する教員からのコメント(別途配布)を読む  2.0 
授業   〇判断の状況依存性(2)
  ~「お得感」はつくられる?廃課金はなぜ起こる?
*プロスペクト理論、アンカリング効果 
事後   配布資料を復習する  2.0 
授業科目に関連する実務経験の内容とその経験を活かした授業の展開
実務経験なし 
成績評価の基準と方法
課題に対するフィードバックの方法
【成績評価の基準と方法】
次の2点を総合して評価する。
1.第2~15回の講義後に提出するリアクションペーパー(各5点×14回=70点)
2.期末レポート(30点)
*盗用(コピペなど)をはじめとする不正行為が確認された場合、原則として、当該学生に対して本科目の単位を認定しない。

【課題に対するフィードバックの方法】
〇リアクションペーパーの評定は、Moodleを通じて、原則として次回講義日までに実施する。
〇期末レポートの評定は、Moodleを通じて、成績確認期間前までに実施する。 
テキスト
No 著者名 書籍名 出版社 ISBN/ISSN
1. 特に指定しない。       
参考文献
No 著者名 書籍名 出版社 ISBN/ISSN
1. 亀田達也・村田光二  『複雑さに挑む社会心理学[改訂版]』  有斐閣アルマ  978-4641124189 
2. 村山綾  『「心のクセ」に気づくには:社会心理学から学考える』  ちくまプリマ―新書  978-4480684424 
関連ページ
1. 心理学に興味のある方へ  https://psych.or.jp/public/  日本心理学会ホームページ 
2. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連ページ  https://psych.or.jp/special/covid19/  日本心理学会ホームページ 
備考
〇原則として、指定された〆切以降に提出されたリアクションペーパーおよび期末レポートは受理しない。
〇本学の「履修要項」に定められている欠席(特別欠席・公認欠席・感染症による授業欠席)に該当する場合は、所定の証明書を提出した者に限り、特別対応(課題の提出〆切の延長など)を検討する。ただし、状況により特別対応が難しい場合もありうる。そのため、欠席証明書は発行され次第、速やかに提出すること。
〇特別な理由がない限り、成績の再評価は行わない。たとえば、上述の証明書が発行されない事情(通常の体調不良など)しかないにもかかわらず「今期に卒業するため、なんとか本科目の単位を認めてほしい」といった陳情には、基本的に応じない。

〇受講にあたって前提とする知識は特にないが、心理学系の他科目を並行して履修することが望ましい。
〇後期に開講する「社会心理学B」の履修は必須ではないが、社会心理学の全体像を理解したい者は通年で履修することを推奨する。 
教員e-mailアドレス
kawaiあっとまぁくsgu.ac.jp 
オフィスアワー
水曜12:30-13:00(A館4階A-419) 
画像
ファイル


PAGE TOP